天水農業の影響

こんにちは。

 

前回の記事からの続きになります。

 

前回のまとめ

・自分達の家で食べる分だけ生産するような自給自足的な農業を営んでいる農家さん達の立場では「これまでの経験だと、これくらい収穫出来るだろう」という面積で生産している

・気候変動(=自然環境が変化)が発生している現状だと、これまでの経験が当てにならなくなってきてる。実際には収穫高が減っている。

 

では、実際にこういう状況の中で農家さんに何が起きていたかというと、前シーズンの収穫高が予定より少なくて家庭で消費する分のトウモロコシを確保できずに早い世帯だと12月頃から食糧不足に陥っていました。世帯によってはまだ実が熟していない2月頃のトウモロコシを収穫して食べたりして飢えをしのいでいました。ザンビアは雨季が年に一度(12月〜4月)しかないので、食糧不足は収穫期の直前にやってきます。

 

・買えばいいじゃないの?

こう思われるかもしれません。でも、農家さんと話をすると買いたくても買えない事情というのが見えてきます。

例えば、10月〜11月は雨季の栽培に必要な農業資材(種子・肥料・農薬など)を購入する必要がありますし、1月からは学校が始まるので学費の支払いも必要になります。つまり、出費が嵩む時期で購入費用を賄うのも難しいということです。また、普段農家さんは現金をそんなに持っていないので現金を手に入れるためには「ヽ杏瑤貌きに行く何かを売る」といった行動が必要になります。でも雨季の時期に「ヽ杏瑤貌きに行く」場合は自分の畑の管理が疎かになり将来の収穫高が減少する可能性がありますし、「何かを売る」場合も売るものが無い可能性があります。

・近隣の助け合い

近所の畑作業を手伝った時に現金の代わりにトウモロコシの粉を受け取ったり、余裕がある農家は親しい農家さんには分けたりしていたりするそうです。ただ最近は、全体的に不作に見舞われるようなので、近隣の助け合いも難しい状況になってきているのかなというのが個人的な感想です。

 

こんな感じで12月〜3月頃の間は、カフエ郡とチランガ郡の一部の農家さん達にとって食糧不足に陥り易い時期となります。

↓の写真は、食糧不足になって政府からトウモロコシの粉を支給されているところです(2012年某所)。

 

食料不足関連でいくつか

・何かの論文か本で読んだと思うのですが「食糧不足の時に、家族でご飯をどう分けるか?」というと、夫婦と子供の世帯の場合だと「夫→子供→妻」の順序でご飯を分けるそうです。確かに、奥さんから体調不良になっているような気がします。

・世帯単位で家族が飢えないような十分な食料の確保を目指すことを、世帯レベルでの食糧安全保障(Food Security)と言います。食糧安全保障には様々なレベルがある(例えば国、県などの行政区分による分け方とか)ので、グーグルとかで調べたら色んな文献が出てくると思います。

・途上国の食料不足について知りたい方は、ちょっと古いかもしれませんが「貧困と飢饉(アマルティア・セン)」という本をお勧めします。食料があっても飢饉が発生するメカニズムとか、エンタイトルメント(権限)という概念について描かれています。

 

ご参考までに。

 

蛇足

私自身の話で恐縮ですが、雨季は農家さんからのお昼御飯のお誘いを一律でお断りするようにしていました。裕福な家庭は用意できるのですが、そうでない家庭で用意したくても出来ない人達に恥をかかせないようにするためです。あと、自分の仕事は現地の農家さん達が腹いっぱい食べれるようになれるのが目的だったので、自分が腹いっぱい食べても仕方が無いなと考えていたからです。ただ、御飯のお誘いを断るのはそれはそれで失礼と言われたことがあるので、断る際は断り方も気を付けた方が良いと思います。

 

 

天水農業の影響

こんにちは。

今回は前回の記事で取り上げた、自分達の家で食べる分だけ生産するような自給自足的な農業を営んでいる農家さんが抱える問題点についてです。

 

このブログでも再三再四述べているように現地の雨季における農業は天水農業と呼ばれる、農業用水を雨水に依存した農法が主です。(そうでない農家もいますが、そういう農家は地下水を汲み上げる事が出来るような灌漑設備を持っている=裕福な農家と呼ぶことが出来ます)つまり、収穫高を天候に左右されるということが言えます。

 

前回の記事で紹介したような農家ー自分の家庭で消費する量を予め見積もって、それを満たすような収穫高が得られる面積でトウモロコシを栽培する農家ーの場合、自分のこれまでの経験に基づいて農業を営んでいると言えます。将来の状況(=未来)もこれまでの経験に沿って起こるのならばその経験が活かされるのですが、現在は「気候変動(Claimate Change)」という状況が発生しています。つまり、これまでの経験が活かされない状況に、現地の農家さん達が置かれているという事です。ザンビアでは、北部は降水量が増え、中央から南部にかけては降水量が減ると言われています。下のグラフはWorld Whether Online (https://www.worldweatheronline.com/kafue-weather-averages/lusaka/zm.aspx)というサイトから、データを引用したものでカフエ郡の月別気温(平均最高気温/平均気温/平均最低気温)と降水量について表しています。折れ線グラフは気温を棒グラフは降水量を表していますが、降水量は年々減ってきているのがこのグラフから読み取れます。

 

 

 このような状況の中で、農業省(特に現場に立つ普及員)は農家に対して「気候変動に備えた農業を営もう」と呼び掛けてきました(少なくともカフエ郡では2011年の時点から)。そのための手段として提案されたのが、「農作物の多様性(Crop Diversification)」という、「トウモロコシだけではなく他の農作物も育てましょう」という事でした。今回のザンビア丸森プロジェクトもこれに合わせて、農作物の多様性を促進するような取り組み(豆類やイモ類の普及)もしていました。

 

・自分達の家で食べる分だけ生産するような自給自足的な農業を営んでいる農家さん達の立場では「これまでの経験だと、これくらい収穫出来るだろう」という面積で生産している

・気候変動(=自然環境が変化)が発生している現状だと、これまでの経験が当てにならなくなってきてる。実際には収穫高が減っている。

・農業省は、農作物の多様化の促進によって気候変動に対応しようとしている(あくまでも手段の一つで、他にも手を打とうとしております)。

 

整理すると、こんな感じになります。

つづく。